特別清算と破産の違い ~金融機関はどのように見ているのか?

「特別清算と破産の違いはなんでしょうか?」

「債務超過の会社ですが、破産ではなく特別清算で清算できないでしょうか?」

 

「特別清算」や「破産」のご相談のときに、上記のようなご質問を受けるときがよくあります。

 

会社が債務超過となり廃業して清算せざるをえない場合、できれば「破産」は避けたいと考えます。

なぜなら、「会社が破産した」となれば、同業者間で大きなウワサとなり、風評被害が出るからです(特別清算は、破産と同じく、債務超過における清算方法なのですが、破産に比べれば風評被害は小さいと言えます)。

 

そのため、「特別清算」で清算できないか、と考えるのは自然といえます。

ただし、「特別清算」は債権者の同意がないと進めることはできません。

具体的には、金融機関の同意がとれなければ進められません。

※金融機関が債権者にいなければ、金融機関の同意は考える必要はありません。けれども一般的には大口の債権者は金融機関、ということが多いといえます。

 

そこで、「特別清算」と「破産」の違いを説明し、金融機関の視点を考えたいと思います。

※破産・特別清算に関する基本的な説明については、「破産・特別清算の基礎知識」をご覧ください。

 

まず、「特別清算」と「破産」の共通点は以下の通りです。

①債務超過であること

②裁判所が関与する清算型の手法であること

主には以上の通りです。

 

次に、「特別清算」と「破産」の違いは以下の通りです。

①清算の主体が「特別清算」では特別清算人(株主総会にて選任)

 「破産」では管財人(裁判所が選任)

②「特別清算」では、債権者の同意が必要。

 「破産」では、債権者の同意は不要。

③「特別清算」では、予納金(裁判所に納める手数料)は比較的安い。また比較的手続きが早い。

 「破産」は予納金が比較的高額。比較的、手続きが遅い。

主には以上の通りです。そのほかにも特別清算は株式会社だけ、などの違いもありますがここでは割愛します。

 

以上の点を踏まえて「金融機関の視点」を考えてみます。

 

特別清算の申し立てをする場合、事前に金融機関に対して『この度、事業を停止して特別清算にて清算したいと考えています。ついては御行に対する借入金を特別清算にて清算することにご同意いただけないでしょうか』と連絡することが一般的です。

これに対して金融機関は簡単に同意しません。

金融機関から見れば債権の放棄ですので、簡単には同意できない、という結論に至るのは当然といえば当然です。

また、実質的な理由もあります。

「破産」では裁判所が選任した管財人が、破産者の資産や債権の有無はもちろん、破産に至る原因や破産前に債権者を害するような処分がなかったか等を調査・報告することになります。

「特別清算」でも、特別清算人が資産や債権等を調査しますが、特別清算人はあくまでも株主総会で選任されただけであり、いわば身内です(通常は、代表取締役がそのまま特別清算人に就任します)。

 

ですので、金融機関は、貸付金の回収不能(破産でも特別清算でも、この結論は同じです)について、破産であれば、裁判所が選任した管財人によるチェックと報告がなされることから、「回収不能という結論が同じであれば、管財人の調査がある破産で進めてほしい」という考えに至るわけです。

 

以上の「特別清算」と「破産」の違い、そして「金融機関の視点」を理解しないまま、単に金融機関に特別清算の同意を求めても、金融機関は「同意しません。破産をご検討されたらいかがですか」という回答になることが多いです。

 

そこで、金融機関に対して特別清算の同意を求める場合、以下の点を説明することが多いといえます。

①外部の専門家(公認会計士など)が、債務超過の原因や不当な処分がないかどうか、また資産の状況や債権の詳細について調査を行い、すべての金融機関に報告すること。

②清算する会社に関して事業譲渡や会社分割その他の手法によって「事業の処分」を行い、その対価を得ることができるため、単に「破産するよりも、特別清算によって清算するほうが清算時の配当が多額になること。

 

結論だけ言ってしまえば、①清算する会社のすべてを明らかにして、②破産よりも多額の配当を行うので、「特別清算」に同意してほしい、というお願いをすることになるのが一般的です。

 

もちろん、このようにお願いをしても金融機関が特別清算に同意しないことも多々あります。

やはり、金融機関にとってみれば、貸付金の回収不能を自ら「同意する」というのは、非常にハードルが高いことといえます。

 

とくに金融機関が嫌がるのは、①に関して、虚偽の説明をしたり重要な事実を隠すことです。

こういった事態が発覚すれば、まず特別清算の同意は難しいといえます(「破産」するほかない、ということになります)。

 

「特別清算」を進めるのであれば、以上の点を十分に理解しておくことが必要になります。

 

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