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事業再生における清算価値の算定方法

2018-03-15

事業再生には、民事再生任意整理、さらには第二会社に事業譲渡を行うといった手法など、様々あります。

それぞれの手法において、注意事項や法的な効力は異なります。

しかし、どの手法にも共通する原則、というものが存在します。

その一つが、「清算価値保障原則」といわれるものです。

 

簡単に言いますと、「A社が事業再生(民事再生や任意整理など)を行う場合債権者に対する弁済額は、A社が破産する場合の配当額よりも上回っていなければならない」という原則です。

すなわち、A社が破産によって清算した場合の配当額は最低限度の弁済額であるから、A社が事業再生を行うのであれば、事業再生による弁済額はそれを上回っていなければならない、ということです。

 

そうしますと、民事再生や任意整理を行う場合、または第二会社に事業譲渡・会社分割を行って債務超過の会社を清算する場合でも、この清算価値保障原則の適用を受けますから、債権者から「清算価値保障原則を充たしていますか?」と質問されることになります。

ですので、事業再生を実行する前に、会社の清算価値を算定しておく必要があります。

 

当事務所では、決算書を基に非常貸借対照表(※サンプルです)を用いて、簿価と実際の現在価値の査定を行い、清算価値を算出しています。。

名古屋地方裁判所においては、民事再生の申立等において、非常貸借対照表の提出を求められることが一般的です。

 

当事務所では、企業の事業再生(民事再生、任意整理、事業譲渡、特別清算、破産)を専門的に扱っております。

これらの事業再生に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。

まずはお気軽にご連絡ください。

無料相談のご予約は0120-710-883にお電話下さい。

主な対応エリア

愛知県全域(名古屋市:千種区、東区、北区、西区、中村区、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山区、緑区、名東区、天白区、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、他)岐阜県、三重県

上記以外でも一度ご相談ください。

金融機関との交渉における注意事項(金融機関の視点)

2018-03-06

 

 事業再生を進める上で、企業の債権者との交渉、とりわけ金融機関との交渉は重要です。

 金融機関との交渉内容は、任意整理という手法であれ、第二会社への事業譲渡+清算といった手法であれ、事業再生の成否を大きく左右します。

 

 当事務所では、主に名古屋市内の企業の事業再生の業務を行ってきましたが、愛知県内、岐阜県や静岡県といった近隣の地域でも事業再生を行ってきました。

 事業再生の内容によって、その地域における特殊性はそれぞれありますが、金融機関との交渉事項においては、どの地域においても金融機関の視点(見方)といいますか、交渉において注意すべき事項があると感じています。

 以下、五つの視点から、注意事項をまとめてみました。

 

 企業情報の適時・適切な開示(情報開示の視点

 どのような事業再生の手法を行うにせよ、情報開示は極めて重要です。金融機関が「企業側・経営者側が重要な情報を隠している」と考えてしまうと、進むものも進みません。

 これは事業再生に限らず、金融機関との交渉・対応において重要と言えますが、とりわけ事業再生の場面では金融機関の利害と対立することが多いため、できる限り情報を開示する、有利な情報だけでなく、不利な(悪い)情報も開示するという視点が大切と考えています

 

 経営者がどのように責任をとったのか(経営責任の視点

 「役員報酬の大幅カットを中心とした財務リストラを進め、同時に金融機関への条件交渉を行う」といったように、経営者がどのような責任を取るのか、という視点は重要です。

 逆に言えば、金融機関に求める交渉内容によって、経営者の責任の取り方も変化する、といえるかもしれません。ある意味では当然といえます。

 第二会社への事業譲渡+清算という事業再生の手法を実行する場合、金融機関の協力を取り付けようとすれば、経営者の責任はより厳しく問われます。

 

 自行だけが不利益ではないか(公平性の視点

 これも当然といえるでしょう。

 「他行への返済状況」といった基本的な事実関係だけでなく、情報開示を行った上で、事業再生によって公平な負担・公平な結果になるのかどうかが重要です。

 

 計画の実現可能性は高いのか(実現可能性の視点

 事業再生には様々な手法がありますが、通常は、企業が一定の時間をかけてプロセスを経て事業の再生を目指します。

 そのため、金融機関は「一定の時間を待ったとして、本当に実現するスキームなのか?」という点を注視しています。

 実現可能性に関する証拠や取引先の確保、従業員の確保など、複数の観点から実現可能性を検証することになりますので、金融機関の交渉の前に十分な準備が必要になります。

 

 経済的合理性があるのか(経済的合理性の視点

 以上①~④の視点から検討した上で、金融機関は「はたして、この事業再生の計画は経済的合理性があるのか?」という検証を行います。

 事業再生との関係で言いますと、「仮に今、企業が破産した場合の弁済(予定)額と、今後の事業再生によって得られる弁済(予定)額」との比較が重要です。

 「破産した場合の弁済(予定)額 < 事業再生によって得られる弁済(予定)額

 これを清算価値保証原則といいます。

 事業再生においては、清算価値保証原則を充足した事業再生の計画を立てることが必要になります。

 

 ほかにも、事業再生において金融機関とさまざまな事項について交渉します。

 ですが、以上の①~⑤の視点から事業再生の手法について事前に検証しておくことが重要です。

 

 ご不明な点などございましたら、お気軽にご相談下さい。

 事業再生(任意整理、民事再生・破産・清算、廃業など)に関する初回の相談は30分無料で行っております。

 ご予約は0120-710-883までお願いします。

 

 

中小企業の事業再生 ~事業譲渡スキーム① 第二会社による事業譲渡

2018-01-18

当事務所では、名古屋市内にある印刷業者(従業員5名)の自己破産と事業譲渡を組み合わせた事業再生スキームを実行しました。

 

約10年前、知り合いからの紹介で印刷業者の息子さんから相談を受けました。

 

「名古屋市内で父親や親戚が印刷業を営んでいる。従業員は自分を含めて5名。代表取締役は父親だが、取締役に親戚がおり、会社にお金を貸しているなど争いが絶えない。しかも、本業の印刷業はニッチな分野に強みがあるものの、右肩下がりの状況。業績は赤字続きであり、銀行から運転資金の追加融資は困難との回答があったばかり。どうすればいいでしょうか?」

 

検討を重ねましたが、親族間の争いが絶えず、従業員の士気も下がっており、しかも赤字が2期連続続いており、債務超過が膨らんでいく状況でした

 

しかし、息子さんは「印刷業は続けたい」という強い希望を有していました。

その理由を尋ねると「約20年、印刷業を続けてきており、ニッチな分野に強みがあり、専用の機械は古くなっているが、修理すれば使用できる。同業他社は減少しており、専用の機械の製造も中止されているから、営業を強化して、ニッチな分野に特化すれば利益は出ます」とのこと。

 

 当事務所は「現状の会社は自己破産により清算+事業譲渡により別会社が印刷業を譲り受けて、事業継続」というスキームを計画しました。

 

 現状の会社が自己破産することに伴い、銀行からの借入等の連帯保証人であった父親(代表取締役)も自己破産することになりました。

 その結果、親族間の争いは収束していきました。

 

 問題は「破産する会社の事業を譲渡する」という点でした。

 

 まずは中古機械業者やリサイクル業者に依頼して、中古機械や什器備品類の現状の価格を査定してもらいました。

 次に事業の価値の査定ですが、これは税理士・会計士の先生に査定を依頼しました。しかし、過去3期分の決算書等の会計資料から査定しようとしても、赤字続きのため価値がつかない(0査定)という結果となりました。

 ただ、これでは破産する会社の管財人からすると、「事業を不当に安く売った」として否認されかねません。

 そこで、税理士・会計士の先生と協議して、過去3期分の決算書等の会計資料を再度精査した上で、今後見込まれる利益を予測して価値を査定することになりました。

 最終的には、事業価値+中古機械・什器備品類の価格=譲渡価格を算出しました。

 

 息子さんは新しい会社を設立し、譲渡価格を破産する会社に支払い、印刷事業と中古機械類を譲り受けました。

 破産する会社は、譲渡価格を破産費用に充てて破産申立を実行しました。

 

 破産申立後、破産管財人に事業譲渡をするに至った経緯、譲渡価格の算定根拠を丁寧に説明しました。破産管財人にご納得いただき、否認されることなく、新しい会社は譲り受けた事業を継続しました(従業員5名の雇用は継続)。

 その後、新会社はニッチな印刷事業に特化、さらに息子さんが営業を強化することによってV字回復を果たしました。

 

 新会社は設立から約10年が経過しましたが、その後も順調に業績を伸ばしておられます。

 

 ポイントはいろいろあるのですが、振り返ってみますと「事業譲渡の価格の査定」が一番のポイントだったと思います。

 譲り受ける側は「事業価値を抑えたい」と考えますので、どうしても「赤字続きだし、悪い要因があるから、事業価値は0に近い」と主張されます。

 しかし、その後に破産する場合(破産しないとしても債権者が詐害行為取消を主張する場合もあります)、破産管財人が否認権を行使するリスクがあります。そうなると、事業継続に支障が出てしまいます。

 

 今後、事業譲渡による事業再生を検討されている方は、「事業譲渡の価格の査定」については税理士・会計士といった専門家にご相談の上で、慎重に進められることをお勧めします。

 ご不明な点などございましたら、ご相談ください。

代表弁護士  阪野 公夫

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