Archive for the ‘事業譲渡’ Category

「事業譲渡」が広がると「廃業」が早まる? ~今日の日経記事の解説

2020-05-21

本日の日本経済新聞(15面)に

「中小、事業譲渡広がる」「廃業ピーク早まる恐れ」

という見出しの記事がありました。

コロナウィルス感染拡大にともなって「中小企業が事業譲渡を模索する動きが広がっている。」とされ、さらに景気悪化で「買い手がつかない」場合には、廃業のピークが早まるおそれもあるという気になる指摘もありました。

 

この記事を読まれた方は、

「どうして中小企業で事業譲渡が広がるのか?」(株式譲渡じゃないのか??)

「事業譲渡の動きが広がって、買い手がつかないと廃業が早まるのはなぜか?」

と疑問をもたれた方もいらっしゃったと思います。

 

この点を事業譲渡の特性(メリット・デメリット)を考えながら、解説します。

 

 

まず、「事業譲渡」のメリットとして

①比較的早い

②比較的コストが安い

③譲渡対象を自由に選定できる

という点が挙げられます。

 

株式会社の「株式譲渡」となると、中小企業であっても、簿外債務のリスクや将来性、事業の採算性を県とするために、デューデリジェンスが実施されるのが一般的です。そのための時間やコストも必要となります。

 

他方、「事業譲渡」では、デューデリジェンスを実施するとしても、譲渡対象を絞った場合には、比較的早く、しかもコストを抑えてデューデリジェンスを実施し、その後の手続きも簡便に進めることが可能です。

 

また「会社分割」という「事業譲渡」に類似した手法においても、新設会社の登記などを要するため、早さやコストでは「事業譲渡」のほうがやや有利といえます。

 

このようなメリットを考えると、業績が急速に悪化した中小企業は、優良な事業部門だけを「事業譲渡」によって早期に譲渡することを検討することが増えます。

 

そのため、コロナウィルス感染の影響により急速に業績が悪化した場合、中小企業で「事業譲渡」が広がることになると考えられます。

 

さらに、「事業譲渡」は早期の事業売却による現金化という側面もあります。

すなわち、単に事業用機械といった財産だけを切り売りするのではなく、事業部門をまとめて「事業譲渡」にょって売却したほうが高値で売れることが一般的です。

とくに中小企業では、事業部門を「事業譲渡」することによって早期に運転資金を得ることが重要となる場合があります。

 

そのため、景気悪化によって「事業譲渡」の買い手がつかないと、運転資金が枯渇し、「廃業」に追い込まれるというケースが増える可能性が高まります。

 

以上のように、業績が急速に悪化した中小企業にとっては「事業譲渡」による現金化が死活問題になるのですが、買い手がつかないことによって「廃業」が早まる恐れもあるという帰結になるのです。

 

以上、本日の日経新聞の記事から中小企業の「事業譲渡」と「廃業」について考えてみました。

法人破産を弁護士に依頼する前にチェックするべき5つのポイント

2020-04-20

法人破産の相談を行うと、相談者の方(法人の代表者や経営者の方)が

「もっと早く相談したかったのですが…」とおっしゃるケースが多いです。

 

ただ、法人破産の相談に来られているので資金繰りが苦しいケースが多いため、

「自社の何を検討すればいいのかわからない」という状態になってしまい、結果、専門家への相談が遅くなってしまうのではないかと思います。

 

当事務所は平成20年に業務開始以来、計100件を超える法人破産・企業倒産(民事再生や私的整理を含みます)に関与してきました。

その経験から、「この点をあらかじめかチェックしておけば早く進んだのに」と思うポイントがあります。

そこで今回は法人破産を弁護士に依頼する前に「まずチェックするべきポイント」を説明します。

 

5つのポイントを説明しますが、このポイントをチェックしておけば実際にどうすればいいのか、あるいは、どういった資料を準備すればいいのかがすぐにご理解頂けると思います。

ポイント① 資料を準備する。

ポイント② 資金繰りを確認する。

ポイント③ コア事業の将来性を確認する。

ポイント④ 社員の雇用確保の手段を確認する。

ポイント⑤ 経営者の今後の生活設計を確認する。 

順に説明します。

ポイント① 資料を準備する。

法人破産(また民事再生や私的整理の場合も含みますが)一般的に以下の資料が必要となると思います。

ですので、まずは以下の資料を確認して準備しておくことをお勧めします(追って他の資料も必要となります)。

 ■事業内容が分かるもの(会社案内・パンフレット等)

 ■会社の現在事項証明書(会社の謄本)

 ■決算書(過去3年分)

 ■試算表(現在から6か月分)

 ■債権者に関する資料(金融機関、買掛先、未払い税金・社保含む)

 

ポイント② 資金繰りを確認する。

法人破産(また民事再生や私的整理の場合も含みますが)の場合、準備や検討のために一定期間が必要となります。

また、法人破産のための費用も必要です(→「法人破産を含めた倒産・再生案件についての費用」にて説明しています。また、法人破産については「法人破産の費用はいくらかかるのか?」というコラムにてくわしく説明しています)。

 

そのため、現在の資金繰りを確認しておくことが必要となります。

 

ポイント③ コア事業の将来性を確認する。

法人破産(また民事再生や私的整理の場合も)において、単に法人破産を進めるだけでなく、「将来性のあるコア事業は活かしたい」「今後も利益が見込まれる事業は残して、譲渡したい」というケースが多くなっています。

そのため、事前に「破産後(あるいは民事再生後・私的整理後)、残す事業は何か」を確認しておくことが必要です。

 

ポイント④ 社員の雇用確保の手段を確認する。

③まで確認が進むと、次は今いる社員をどうするのか、「残す事業で雇用を継続する」「他の企業に移ってもらう」といった具体的な手段を確認しておくことが必要になります。

とりわけ、「将来性のあるコア事業を移転して残す」といった場合、今いる従業員(の一部)が事業に残ってくれるかどうかが重要なポイントになります。

 

ポイント⑤ 経営者の今後の生活設計を確認する。 

最後のポイントは、やはり経営者ご自身の今後の生活設計です。

「住居をどうするか」(不動産ローンが残っているか、運転資金のために抵当権が設定されているか)、「今後の収入のメドは」(転職するか、事業の移転に伴って、移転先で社員として稼働するか)といった点を確認しておく必要があります。

 

大まかですが、以上の5つのポイントを確認しておくと、法人破産(また民事再生や私的整理の場合、あるいは事業を譲渡する場合)における「漠然とした不安」が相当程度、払しょくできるかと思います。

なお、当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。

 

当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は、早めの相談が重要と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。

無料相談のご予約は0120-710-883にお電話下さい。

 

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法人破産をご検討の方に④ ~清算価値保障原則が重要!

2020-03-07

前回から引き続いて、法人破産についてです。

 

前回のコラムにて、「債務超過が続いて、借金を返済することができず法人の破産を考えた場合には、まず【事業】が継続可能かどうか」を検討するという点を紹介しました。

具体的には、コアとなる【事業】について「収益性や将来性があるか」という事業価値を算定することになります。

公認会計士の先生に依頼して事業価値を算定することになりますが、同時に【法人】を清算した場合の清算価値も算定することが重要なポイントです。

 

その理由は、事業再生においては清算価値保障原則が重視されるからです。

清算価値保障原則とは、法人や企業が再生を図る場合、再生した場合の配当は清算した場合の財産による配当よりも多いことが保障されなければならない、というものです。

簡単に言えば、【清算した場合の財産による配当率】<【再生した場合の配当率】という等式になります。

この根底には、清算(破産や特別清算など)した場合の財産による配当は債権者にとっては最低限の配当であって、再生した場合の配当が、清算による配当よりも下回るのであれば債権者の保護に欠ける、という考え方があります。

 

ですので、人の破産の場合に、【事業】をスポンサーや別会社に譲渡して【事業】は生かした上で、【法人】(企業)は清算する(破産や特別清算)するのであれば、これも一種の【事業】の再生ですので「清算価値保障原則」が妥当します。

そのため、あらかじめ清算価値を算定しておいて、いざ【事業】を譲渡する場合に「清算価値保障原則」を守っていることを債権者の方々に説明できるようにしておく必要があるのです。

逆に言えば、【事業】を譲渡して、その後に【法人】を清算する場合に、債権者側から「清算価値保障原則に反する」といった異議が出されますと、事業の譲渡がスムーズに行われないというリスクがあります。

 

そこで、法人の破産を考えて【事業】の譲渡等を検討され、公認会計士の先生に事業価値の算定を依頼されようとしている方は、この「清算価値」の算定についても行うことがおススメです。

 

当事務所では、法人破産、廃業や清算について専門的に扱っております。

これらの破産、廃業や清算、事業譲渡に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。まずはお気軽にご連絡ください。

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上手な会社のたたみ方 ④「廃業後の生活費」・「廃業コスト」

2019-06-27

前回から引き続いて、上手な会社のたたみ方です。

 

すこし古い資料ですが、中小企業庁が平成26年5月に公表した「第2創業支援、廃業円滑化について」(引用:中小企業庁HP)によりますと、廃業する場合の不安は

1位廃業後の生活費」(58%)

2位廃業コスト(設備廃棄)」(20%)

とのことです。

 

上記の中小企業庁の資料では、「廃業後の生活費」については小規模事業共済の活用、「廃業コスト(設備廃棄)」に対しては事業整理のための融資の利用をすすめています。

 

しかし、それだけでは不十分でしょう(中小企業庁の資料でも、制度の拡充等が指摘されていました)。

 

「廃業後の生活費」「廃業コスト(設備廃棄)」の不安を根本的に解決するためには「核となる事業(コア事業)」を確認した上で、事業譲渡やM&Aを実施してコア事業をスポンサーや新会社に移転し、残余の事業のみを廃業し、さらに旧経営者はコア事業の継続のためにスポンサーや新会社のもとで一定期間の雇用を継続する、という方法をとるべきと考えます。

 

これにより、残余の事業のみが廃業となるので「廃業コスト」をおさえることができます。

さらに、コア事業の継続・引継のために一定期間とはいえ雇用継続することにより「廃業後の生活費」を確保することもできます。

 

ですので、廃業を考える場合には、コア事業収益性や継続性を確認して、スポンサーや新会社の移転を検討すべきでしょう。

 

当事務所では、廃業や清算、事業譲渡・M&Aやについても専門的に扱っております。

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代表弁護士  阪野 公夫

 

 

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上手な会社のたたみ方 ③債務超過でも会社をたたむ方法 

2019-06-07

今回は、最近増えている「廃業」についてです。

2019年2月に帝国データバンクが公表した資料によりますと

2018年 愛知県の「休廃業・解散」の企業:1076件

これに対して、倒産した企業:638件

業種別に見ますと、「休廃業・解散」の企業のうち、

建設業:342件(全体の31%)

卸売業:177件

サービス業:172件

ちなみに、代表者の年齢別ですと70代が343件と最多です(全体の36%)。

 

廃業の相談にくる会社経営者の方は、

後継者がいないので廃業したいのですが、破産は避けたかったので、決断までに時間がかかってしまいました

とおっしゃる方が多いです。しかし、債務超過の会社の廃業=破産ではありません。

「破産を避けよう」と思うあまりに、早い時期に専門家への相談のタイミングを逃してしまうと、かえって問題が大きくなりかねません。

「破産を避ける」主要な理由は、大きく分けると二つです。

①取引先や従業員に迷惑をかけたくない

②経営者が連帯保証をしているため、会社の破産=経営者の破産となるため

②については既にコラムでも説明していますので、今回は①を中心に説明します。

 

①についてのポイントは、「企業のコアとなるA事業が継続可能かどうか」=収益性や将来性があるか、という点です。

仮に、企業のコアとなるA事業に収益性や将来性が見込まれるのであれば、事業価値を適正に算定した上で(公認会計士に依頼して算定することが一般的です)、取引先や従業員を含めて事業を譲渡する(支援先や第二会社等への譲渡)ことによって、取引先や従業員への迷惑は最低限に抑えることが可能です。

 

具体的な方法としては、企業から取引先・従業員を第二会社・スポンサー企業に「収益性・将来性のあるA事業」を適正な譲渡対価にて譲渡(事業譲渡・会社分割が一般的です)する方法です。

その後、企業には主に金融負債が残りますが、金融機関と協議した上で、破産ではなく特別清算によって処理することも可能です。

 

以上のように、債務超過している会社の廃業=破産ではありません。

 

当事務所では、企業(法人・個人事業主)の廃業や清算・特別清算、破産や事業譲渡を専門的に扱っております。

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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ④リスケ後の中小企業再生支援協議会スキーム

2019-06-06

前回からの続きです。「リスケ後の出口戦略」は、相談や質問が多いテーマの1つです。

 

さて、リスケ後の中小企業再生支援協議会(支援協)スキームについて具体的な流れやポイントを説明していきます。

 

<案件の概要>

A株式会社  東海地方の製造業(50年以上の社歴)

社員数:30名未満  売上高:5億未満

後継者不在

業績の落ち込みより数年前からメインバンク主導(支援協の協力)によるリスケを継続中。

 

<流れ・スケジュール>

1月:最初の相談

   A社とコンサルタント同席  

2月:第1回バンクミーティング

   弁護士側から第二会社方式(スポンサーへの事業譲渡型)による事業再生の概略を説明

3月:メインバンク+保証協会との事前打ち合わせ

  →「支援協によるスキームであれば検討する」との方針を確認

4月:2回目のバンクミーティング

   支援協によるスキーム(いわゆる検証型)に基づいて、スポンサーへの事業譲渡+金融機関に一時弁済+A社の特別清算を進めることを説明

   支援協の再生計画案の原案を説明+公認会計士によるデューデリジェンスの実施

6月:3回目のバンクミーティング

   支援協の再生計画案の修正案を説明+公認会計士によるデューデリジェンス結果の報告+支援協による検証結果の報告

   →金融機関から支援強に対して再生計画案の「同意」

7月:事業譲渡 クロージング

8月:金融機関に対する一時弁済の実施(原資:事業譲渡対価)

9月:A社 解散→特別清算の申立

 

以上の通り、金融機関による結論が出るまでに半年、事業譲渡のクロージングまでに7ヶ月を要しています。

ですが、金融機関側の稟議の準備やスポンサーとの協議といった事項がありますので、非常に早い進行かと思います。  

 

次回以降のコラムにおいて、各項目におけるポイントをご説明していきます。

 

当事務所では、事業譲渡特別清算による事業再生(破産や民事再生ではない、再生方法)についても専門的に扱っております。

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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ③リスケの出口戦略と中小企業再生支援協議会スキーム

2019-05-15

前回のコラムの続きです。

 

最近、相談が増えているのがリスケが先行している中小企業における出口戦略は何がベターか?という点です。

具体的にリスケの流れを説明しますと、

中小企業が苦況になる。専門家やメインバンク担当者に相談。

メインバンクに支援申請→各金融機関へのリスケ(利払いのみ)要請に移行。

バンクミーティングにて「リスケ内容」「事業計画(リストラ計画含む)」等の承認。

 

大まかに言いますと、以上の流れでリスケ実行に至ると考えられます。

スケジュール感としては、①~②~③で2~3ヶ月かと思います(大まかですが)。

 

その後、無事に事業の立て直しが実行・完了すれば、リスケは終了して、通常の支払(元金+利息)に戻るという流れになります。

しかし、企業側が事業の立て直しを図っても事業計画通りに再建が進まない場合があります(その理由は様々です)。

そうなってくると、バンクミーティングにて再度のリスケの承認となりますが、「では今後どうする?(出口戦略はあるのか?」が問題になります。

あるいは、事業計画の進捗が思わしくない、という状況になれば同じようにリスケ後の出口戦略が問題なります。

 

具体的には

スポンサーを選定して、M&A(合併や株式譲渡)によって会社を譲渡する。

:企業を黒字部門と赤字部門に分けて黒字部門を事業譲渡または会社分割によってスポンサーや別会社に移転する。

以上の戦略を検討することが多いと思います。

 

は、「リスケ中の会社を買ってくれるスポンサーを選定できるか?というのがハードルになります。

は、黒字部門であれば値段次第で買うというスポンサー(あるいは関係企業)はいるとしても、「企業に残る負債(とくに金融負債)をどのように処理するのか?」という点が課題になります。

 

前回のブログにて紹介しましたが、企業に残る負債(とくに金融負債)をどのように処理するのか?という課題に対しては中小企業再生支援協議会スキームが有効であるケースが多いと考えています中小企業再生支援協議会

具体的に言いますと、中小企業再生支援協議会スキームによって「黒字部門をスポンサー・別会社に事業譲渡・会社分割」+「赤字部門を残した企業を特別清算」という手法を金融機関全員の同意のもとで進めるというものです。

 

 

中小企業再生支援協議会スキームの優位性は大まかに言いますと2点です。

地域の中小企業においては、地域の金融機関(保証協会を含む)が多く関与しており、中小企業再生支援協議会の考え方やスキームに対する信頼性が高いケースが多いです。

リスケ後の出口戦略においては企業の経営陣の連帯保証が問題になりますが、その場合には「経営者保証のガイドライン」にしたがって整理することになります。経営者保証のガイドラインを用いた経営者の保証債務の整理も、中小企業再生支援協議会スキームによって同時並行して実行することができるので、結果として、スキームの進行がよりスピーディかつ円滑に進むことが多いです。

 

以上の理由により、中小企業再生支援協議会スキームが有効であるケースが多いと考えています。

というわけで、次回以降のコラムにおいて中小企業再生支援協議会スキームの実例を基に具体的な流れやポイントをご説明していきます。

 

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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ②リスケの出口戦略と特定調停

2019-05-14

前回のコラムの続きです。

リスケが先行している中小企業における出口戦略と特定調停スキームのメリットを考えます。

 

<対象企業>

A株式会社 製造業(50年以上の社歴)

社 員 数 30名未満

売 上 高 5億未満

借 入 金 長期:3億以上(複数の金融機関:保証協会による保証付き)

      短期:1億以上(複数の金融機関:ノンバンク含む)

 

A社は後継者が不在であり、業績の落ち込みより、数年前からメインバンク主導(中小企業再生支援協議会の協力)による「リスケ」を継続中。

同業他社のB社(古い付き合いのある有力企業)がA社の支援に名乗りを挙げたものの、A社の資金繰りが厳しくなり、破産するか否かという状況に。

 

A社は、バンクミーティングにおいて、「B社によるM&A(事業譲渡)」を提案しました。

問題は、A社の金融機関からの借入金債務の処理です。

A社は「私的整理」による処理を提案し、具体的には以下の2つのスキームを検討しました。

①「特定調停により金融債権だけをカットするスキーム」

②「中小企業再生支援協議会における再生計画案により金融債権だけをカットするスキーム」

 

私的整理のメリットは、対象とする債権者を選定し、取引債務(取引先)を除外することができる点です。

①特定調停スキームも②中小企業再生支援協議会スキームも、取引先を除外することができるというメリットは共通です。

しかし、①特定調停の場合には、特定調停法17条により、裁判所が決定を出すことができると定められています(いわゆる17条決定)。

17条決定が出されると、債権者から異議がなければ、2週間で決定が確定します。そのため、一部の強硬な債権者がいる場合に有効、と説明されることがあります。

これは、②中小企業再生支援協議会スキームには無い制度です。

 

A社も、取引先を除外し、借入金に関する金融機関だけを対象債権として選定しました。

ただ、借入金の中で、短期借入金としてノンバンクから借り入れている債務がありました。

そこで、A社は、「ノンバンクも対象として、①特定調停スキームを実行し、ノンバンクが反対すれば17条決定を求めたい」と提案しました。

 

しかし、この提案には金融機関側が反対しました。その理由は、「17条決定に異議が出される可能性があるので、それであれば①特定調停スキームでの処理には応じられない」というものでした。

やはり、私的整理では対象債権者の全員の同意が原則ですので、ノンバンクを対象とすれば、そこも含めて全員の同意が得られることが必要になります。

そうしますと①特定調停スキームにおける17条決定という制度は大きなメリットではない、ということになります。

 

むしろ、通常、苦況の中小企業の場合ではリスケが先行してバンクミーティングが実施されていますので、従前のバンクミーティングの内容を前提として、②中小企業再生支援協議会スキームを実行する方がスムーズに移行できるのではないかと思われます。

実際、A社は、従前のバンクミーティング(中小企業再生支援協議会が協力)を前提として、②中小企業再生支援協議会スキームを検討するという手法をとりました(ノンバンクは、対象債権者には入れずに、一般の取引先と同じ扱いにしました)。

ですので、リスケが先行している中小企業における出口戦略としては②中小企業再生支援協議会スキームが有効である場合が多いように感じています。

 

次回以降のコラムにおいて②中小企業再生支援協議会スキームの流れやポイントをご説明していきます。

 

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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ①特定調停か、支援協スキームか?

2019-04-18

前回のコラムから時間があいてしまいました。

 

さて、以前として「後継者不在」を原因とする廃業・清算や、事業譲渡といった案件のご相談は非常に多い状況です。

そこで、当事務所が関与した案件の中で「事業譲渡+特別清算」による再生スキームについて取り上げたいと思います。

 

<案件の概要>

A株式会社  東海地方の製造業(50年以上の社歴)

社員数は30名未満

売上高 5億未満

 

A社は後継者が不在であり、業績の落ち込みより、数年前からメインバンク主導(中小企業再生支援協議会の協力)による「リスケ」を継続中。

同業他社のB社(古い付き合いのある有力企業)がA社の支援に名乗りを挙げたものの、A社の資金繰りが厳しくなり、破産するか否かという状況に。

 

このような状況において、A社は、「なんとか話合いで解決したい」「民事再生や破産となると、B社の支援があっても、取引先が離れて事業継続できない」という思いがあり、「私的整理」による事業再生を検討しました。

具体的には以下の2つのスキームを検討しました。

特定調停により金融債権だけをカットするスキーム」

中小企業再生支援協議会における再生計画案により金融債権だけをカットするスキーム」

 

事業再生の専門書を見ると、

「中小企業再生支援協議会の手続きは時間がかかるので、資金繰りがひっ迫しているときは、特定調停のスキームがベター」

といった記述を見かけます。

しかし、必ずしもそうはいえないと思います。

 

当事務所は、A株式会社について、中小企業再生支援協議会の手続きにより再生計画を策定し、スポンサー企業による事業譲渡+特別清算による金融債権のカットというスキームを実行しました。

 

次回以降のコラムにおいて、具体的な流れやポイントをご説明していきます。

 

当事務所では、事業譲渡特別清算による事業再生(破産や民事再生ではない、再生方法)についても専門的に扱っております。

これらの事業譲渡・私的整理・特別清算に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。まずはお気軽にご連絡ください。

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代表弁護士  阪野 公夫

 

 

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実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ⑤事業譲渡の実行日後の流れ

2018-07-10

またまた前回のコラムから少し時間が空いてしまいました。

前回のコラム(実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ④事業譲渡契約の実行日)の続きです。

実際の名古屋市内での飲食店(1店舗)の事業譲渡の実例をもとに、事業譲渡契約の実行日後の流れに関するポイントを解説します。

 

まず、飲食店(1店舗)の事業譲渡のケースでは、以下の点が事業譲渡実行日までの遵守事項となります。

 ①契約日後も今までと変わらず店舗の運営を継続すること、スタッフ・アルバイトの維持仕入れ等の継続

 ②譲渡側が株主総会の議決(株式会社の場合)や店長その他関係者の同意(引継ぎ方法の確認など)

 ③保健所等の行政への届出の準備、仕入れ先や店舗賃貸人・リース契約といった契約の承継の準備

 

次に、事業譲渡日において、譲渡側(店舗を売る側)と譲受側(店舗を買う側)が譲渡実行を行います。

具体的には以下の事項の確認や受け渡しが行われます。

 「本事業譲渡前の遵守事項」が完了しているかどうか、遵守事項を書面により確認して書面を授受

 対象店舗のカギ・セキュリティ、賃貸借契約書やリース契約書など、譲受側(店舗を買う側)が店舗運営のために必要となる物品や書類の確認と授受

 事業譲渡契約書で合意された代金の支払と領収証の授受

 今後の譲受側(店舗を買う側)の店舗運営の方法・引継ぎの確認。

 店舗の在庫、釣り銭等の現状の確認。

 

事業譲渡日以後、譲渡日の主要5項目(①~⑤)を基に店舗の運営を行うことになります。

そのため、事業譲渡日以後、上記①~⑤の事項が実際の店舗で実行できるかどうかを確認することになります。

ですので、事業譲渡日の上記①~⑤の項目は非常に重要です。

 

けれども、それだけでは足りません。事業譲渡日以後の業務において、以下の点がポイントになります。

 ①「店舗運営のキーマン」が譲受側(店舗を買った側)の指示にしたがって業務をするかどうか

 ②取引先・顧客の個別事情の把握と対応

 ③譲受側(店舗を買った側)による新しい施策の実施

 

まず最初の重要ポイントが①「店舗運営のキーマン」です。

飲食店の場合、「店長」や「マネージャー」といった店舗運営のキーマンがいます。

このキーマンが、事業譲渡後、譲受側(店舗を買った側)の指示にしたがって業務をするかどうかが、飲食店の事業譲渡の成否を分けることが多いです。

よくあるケースが、キーマンが「以前(譲渡側=店を売った側)は違った」「労働条件が悪くなった」と言い出して、オペレーションが混乱するといったケースです。

そのため、飲食店の事業譲渡における事前調査においては「キーマン」に関する調査も重要になります。

 

次に②取引先・顧客の個別事情の把握と対応も重要になります。

取引先や重要な顧客について、取引契約等はあったとしても、やはり飲食店の場合には「特別」ということが多々あります。

そのため、取引契約書には記載されていない事項や取り決めが存在することもあります。

こういった「特別」な取り決めや、事前調査だけでは十分に把握できません。

事業譲渡後、実際に店舗を運営する中で、「特別」な個別事情を把握し、どういった対応を取るのかを決めなくてはなりません。

 

最後に③譲受側(店舗を買った側)による新しい施策も重要です。

どのような飲食店であっても、改善すべき点はあります。

そこで、店舗を買った側が、新しい施策(労働条件の改善やコスト見直し、広告戦略の見直しなど)を打ち出す必要があります。

こういった新しい施策を打ち出し行かなければ、改善すべき点が放置され、悪い方向へ進むことも考えられます。

むしろ、新しい施策をしなければ飲食店を買った意味がない、とすら思います。

 

以上が、飲食店(1店舗)の事業譲渡後のポイントになります。

飲食店のM&A(事業譲渡)について、第1回(①交渉スタート)から今回の第5回(事業譲渡後の流れ)までを確認して頂ければ、飲食店(1店舗)の事業譲渡によるM&Aのポイントはご理解頂けると思います。

当事務所では、飲食店のM&A・事業譲渡だけでなく一般の企業のM&A(株式譲渡や事業譲渡、合併など)を専門的に扱っております。

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