Archive for the ‘廃業・清算’ Category

廃業する会社の探し方〜廃業する会社を買うための初動(ひな型あります)

2021-03-02

廃業する会社が増えています。

廃業する主な理由は、経営者の高齢化と後継者の不在、収益の悪化の2点といわれています。

 

その結果、「廃業する会社を買う」ことが増えており、当事務所でも「廃業する会社を買う予定です。どういった点に注意すればいいでしょうか?」といったご相談が増えています(具体的な注意点については【廃業する会社を買う方法 5つのメリットと注意点をまとめました】をご覧ください)。

 

そのため最近では「どうしたら廃業する会社を探すことができますか?」という質問を受けることもあります。

 

一般的には、廃業する会社を探そうとなればM&A仲介会社に依頼する、という方法になります。

もちろん、自ら廃業する会社を探すこともできます。

当事務所では、「まずは自社の取引先などの知り合いで廃業する会社がないか探すことが一番早いですよ」とアドバイスしています。

 

具体的に言えば、上記の通り廃業する主な理由は、経営者の高齢化と後継者の不在ですので、取引先などの知り合いで経営者が高齢となっている会社、さらに後継者が不在の会社を探すということになります。

また、廃業する会社の特徴として、廃業前に「取引先との契約をすこしずつ終了して縮小化する」「従業員を少しずつ減らす」「余剰資産を処分する」といったことが行われることがあります。

 

以上の情報をてがかりとして、自社の取引先などの知り合いの会社のなかで「廃業する会社がないか」を探すことになります。

 

そして、廃業するのではないかと思われる会社の経営者や関係者と話している際に、「実は廃業を考えていて…」といった発言がでることがあります。

このあたりは、経営者間の人間関係もありますので慎重に話す内容となります。

 

結果、「廃業するから会社を買ってほしい」「わかりました。買いましょう」という合意に至っても、ここで安心してはいけません。

ここから具体的な内容を詰めていくことになりますし、最初にきちんと意思を伝えておくことが重要です(後々になってトラブルになることを防ぐためにも重要です)。

そこで、当事務所では「最初に書面で申し入れをしておいたがほうがいいですよ」とアドバイスしています。

相手先も「本気なのか。興味本位で廃業ということが漏れたら大変だ」と考えますので、正式に書面にて通知したほうがいいといえます。

もちろん、会社との関係性や経営者間の人間関係、文書がいいのかメールがいいのかといった点も慎重に検討すべきです。

申入書のひな型を張り付けておきますので、参考までにご覧ください(買う方法は、事業譲渡にしています)。

※ケースバイケースで内容は変えますがとくに波線箇所は変わってきます(ご自身の責任でご利用ください)

 

以上が、廃業する会社の探し方(自ら探す場合)と初動(最初の一歩目の動き)です。

廃業する会社と事業譲渡や株式譲渡などを検討する場合、早めに専門家の相談を受けることをおすすめします。

廃業する会社もいろいろですので、実際には会社の中身を慎重に見ないと、あとになって不測の損失をうけることがあるからです。

 

当事務所では、廃業を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております

無料相談のご予約は0120-710-883にお電話いただくか、お問い合わせフォームにてご連絡ください。

 

代表弁護士  阪野 公夫

 

 

主な対応エリア

愛知県全域(名古屋市:千種区、東区、北区、西区、中村区、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山区、緑区、名東区、天白区、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、他)岐阜県、三重県、静岡県

上記以外でも一度ご相談ください。

 

【特別清算+スポンサーに事業譲渡】の成功例 ~法人破産を避けるために

2021-01-08

「法人破産を避けたいのですが、どうすればいいでしょうか?」

 

こういったご相談が増えています。

当事務所では、過去に【法人の特別清算+スポンサーに対して事業譲渡】というスキームにより、法人破産を回避して、事業を継続したケースをてがけたことがあります。

 

【ケースの概要】

A株式会社  東海地方の製造業(50年以上の社歴)

社員数:10名~20名  売上高 4億~5億

後継者が不在

業績の落ち込みより、数年前からメインバンク主導(中小企業再生支援協議会の協力)による「リスケ」を継続中。

同業他社のB社(以前から付き合いのある有力企業)がA社の支援に名乗りを挙げたものの、A社の資金繰りが非常に厳しく、破産するか否かという追い詰められた状況に。

 

このような状況で、A社の代表者の方が、知り合いのコンサルタントの方と当事務所にて相談にきました。

A社は、「なんとか話合いで解決したい」「民事再生や破産となると、B社の支援があっても、取引先が離れて事業継続できない」という思いがあり、「私的整理」による事業再生を検討しました。

具体的には以下の2つのスキームを検討しました。

特定調停により金融債権だけをカットするスキーム」

中小企業再生支援協議会における再生計画案により金融債権だけをカットするスキーム:スポンサーB社に事業譲渡

 

ときおり「中小企業再生支援協議会(支援協)の手続きは時間がかかるので、資金繰りがひっ迫しているときは特定調停のスキームがベター」といった見解を見かけることがあります。しかし、必ずしもそうはいえないと思います。

結局は、私的整理=「金融機関の同意を得られるかどうか」がポイントになるため、場合によっては支援協の手続きにより再生計画を策定したほうが早く金融機関の同意が得られることもあると考えています。

 

当事務所は、A株式会社について、中小企業再生支援協議会の手続きにより再生計画を策定し、スポンサーB社による事業譲渡+特別清算による金融債権のカットというスキームを実行しました。

 

具体的には、支援協の主導で公認会計士の方に財務デューデリジェンスを行い、A社の清算価値を算定して、清算価値を十分に上回る「譲渡対価」をB社が支払うという内容の事業譲渡を実行し、譲渡対価を各金融機関に按分弁済して、A社は特別清算により清算しました。

B社は、A社の事業や社員をすべて引き継ぎ、今までと同じように経営を続けることができています。

 

本ケースでポイントになったのは、数年間つづいてたリスケのバンクミーティングにおいて、A社の代表者が、苦しい状況をきちんと説明してきており、B社の事業譲渡が最後のチャンスとなること(これを逃すと破産すること)を誠意をもって説明したことにあると考えています。

支援協や金融機関も、A社の代表者の人間性や真摯な態度を理解しており、経済的合理性もあることから上記スキームを受け入れることになりました。

 

破産を避けて、事業譲渡を行って、法人は特別清算により清算する場合、金融機関の同意が得られるかどうかがポイントになりますが、まずは「A社(代表者)が信用できるか」という点が重要になります。

 

「破産を避けたいが、事業を残すことができないか」と思い悩んでいる経営者の方は多いと思われます。

まずは早めに専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

 

当事務所では、無料相談(初回の1時間)を実施しております

過去に100件を超える倒産案件に関与した経験から、倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えているからです。

無料相談のご予約は0120-710-883にお電話いただくか、お問い合わせフォームにてご連絡ください。

なお、無料相談を含めた倒産・再生のスケジュールについては事業再生のスケジュールをご覧ください。

 

 

代表弁護士  阪野 公夫

 

 

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廃業する会社を買う方法 5つのメリットと注意点をまとめました

2020-09-10

廃業する会社が増えています。

2019年における愛知県下(名古屋市ふくむ)の休廃業の件数1156件であり、前年よりも80件増加しました(調査会社の統計より)。

 

それにともなって、「廃業する会社を買う方法が知りたいです」「どうすれば廃業する会社を買うことができますか?」という相談が増えてきました。

「廃業する会社を買うことにはメリットがあるから」、だといえます。

ただ、廃業する会社を買う際の注意点を見落としてしまい、あとで不測の事態におちいったケースもあります。

 

そこで、今回廃業する会社を買う方法、そのメリット5点注意すべき点をまとめました。

これを読んでいただければ、廃業する会社を買う方法、メリット・注意点がご理解いただけると思います。

 

廃業の一般的な手続きや流れについては「破産・清算業務(廃業・会社をたたむ方法)について」をご覧ください。

 

【廃業する会社を買う方法】

①全株式の譲渡を受ける。

②廃業する会社の事業の譲渡を受ける。

③廃業する会社を会社分割によって一部を分割する。

 

以上の3つの方法が考えられます(→詳細については「M&Aの方法」をご覧ください)。

 

当事務所が関与した案件では、②廃業する会社の事業の譲渡を受けるという方法がほとんどです。

その理由は、②事業譲渡の場合、廃業する会社の優良部門のみを切り出して譲渡することができ、しかも負債を切り離すことができるからです。

その他にも細かな理由はありますが、この点が最大の理由です。

 

【廃業する会社を買うメリット5点】

⑴ 買収の価格をおさえることができる

一般的なM&Aでは、一定程度の利益が出ている会社を高く売る、という方向で買収協議が進みます。

他方、廃業する会社は「後継者が見つからない」「収益が少ない」といった理由で廃業に追い込まれそうなケースが多いため、一般的な買収対価よりも安く買収できます。

この点は大きなメリットと言えます。

 

⑵ 取引先の確保

廃業する会社の取引先が確保できる、という点も大きなメリットです。ただ、この点は業種にもよります。

 

⑶ 従業員の確保

廃業する会社は、雇用されている従業員が在籍しており、場合によっては熟練工や優秀な営業マンが雇用されていることもあります。

というよりも、廃業する会社を買う最大のメリットは、この「従業員の確保」といってもいいかもしれません。

逆に言えば、廃業する会社に残っている社員が優秀ではない、ほぼ全員退職する、というケースであれば買うことは見送るべきと考えます。

 

⑷ 企業秘密・ノウハウの入手

廃業する会社でも、利益を生み出す源泉を有しています(正確には、「利益を生み出していた」かもしれません)。

この点は、企業秘密であったり、特殊なノウハウであったりします。また、強固な取引先との関係性もプラスされて、企業秘密となっている場合もあります。

こういった、外部の人間が知ることができない企業秘密・ノウハウを入手できるという点も、廃業する会社を買う大きなメリットといえます。

 

⑸ 節税対策の内容

廃業する会社のほとんどが中小企業です。そして中小企業のほとんどが、節税を行っています。

具体的には、「役員報酬を高くする」「不要な支出(たとえば家賃など)を経費としている」といった点です。

こういった節税対策をやめれば、利益を確保できるというケースはよくあります。

この点も廃業する会社を買うメリットと言えるでしょう。

 

【廃業する会社を買う際の注意点】

⑴ 簿外債務

「廃業する会社を買ってみたものの、決算書にのっていない債務があった」

こういった典型的な簿外債務は、よくあるといえます。

 

ですので、事業譲渡によって債務を切り離して事業だけを買う、というのがベターと言えます。

 

⑵ 取引先との契約終了

さきほど、メリットとして「取引先の確保」をあげました。

 

逆に言えば、「継続するはずの取引先との契約が終了となった」という事態が発生すると、メリットが失われることになります。

この点は取引先との契約書や引継ぎがどのようにできるか、といった点を調査することで予防することできます。

 

⑶ 従業員の離反

また、メリットとして「従業員の確保」もあげました。

 

そのため、「確保できるはずの従業員が退職した」「ついてくると思っていた社員が実は会社とトラブルになっていた」という事態に直面すると、かえってデメリットになります。

この点は事前に調査することで、ある程度わかると思います。

 

⑷ 旧経営陣のヒアリング・引継ぎ

以上の注意点は、すべて「旧経営陣からの事前のヒアリング」「旧経営陣による業務の引継ぎ」といった方法によって予防することが可能です。

中小企業においては経営陣による経営方針・営業といった点が大きなウェイトを占めます。また、簿外債務も、ほとんどが旧経営陣に関するものです。

 

ですので、旧経営陣とヒアリングを十分に行って、廃業する会社の全容を把握する、この点が最大のキモになると思います。

 

 

以上が、廃業する会社を買う方法、そのメリット・注意すべき点のまとめになります。

 

廃業する会社が事業譲渡を検討する場合、あるいは廃業予定の会社を買収する場合には、早めに専門家の相談を受けることをおすすめします。

廃業する会社もいろいろですので、実際には会社の中身を慎重に見ないと、あとになって不測の損失をうけることがあるからです。

 

当事務所では、廃業を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております

無料相談のご予約は0120-710-883にお電話いただくか、お問い合わせフォームにてご連絡ください。

 

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中小企業の休廃業・解散見込み5万社の衝撃 ~今日の日経記事より

2020-05-31

今日(2020年5月31日)の日経新聞朝刊に「中小、休廃業・解散5万件」という見出しの記事が掲載されていました。

2020年の中小企業の休廃業・解散が5万件にのぼる見通しであり、過去最高になる見込みとのこと。また、休廃業が5万件になれば20万人の従業員に影響が出ると予測されているとのこと。

 

本コラムでは、この記事について深堀したいと思います。

 

「休廃業」とは、破産や民事再生といった裁判所を通じた清算・再生ではないため、実態の把握が困難です。

ですが、債務超過ではなく、資産超過の状態で、「続けられるけど見通しが悪いから早めに廃業して清算しよう」という判断に基づいて休廃業がなされます。

 

具体的には、「経営者が高齢化しており後継者がいない」「見通しが厳しくて債務超過に転落する前に清算したい」といった様々な理由があります。

 

重要な点は、「今は続けようと思えば続けられるけれど、ここで廃業する」と判断する中小企業が5万社にのぼる見込みであり、20万人の従業員に影響が出るということです。

記事には、高齢を理由に廃業を決断した飲食店事業者や「あきらめ時」と判断した経営者の心情が記載されていました。

 

ですが、廃業を決断した中小企業が、「事業譲渡」といったM&Aを検討しなかったのか、本当に「コア事業」について高い事業価値があったのかどうか、という点は記事では触れられていませんでした。

報道では、どうしても「休廃業5万件」といったインパクトのある数字に焦点が当てられますが、突っ込んで考えると、「休廃業を決断した中小企業のコア事業の価値が高いものかどうか」「継続可能かどうか」という点が重要になります。

 

休廃業を考える際には、コア事業の価値と継続可能性という点がキモになると考えています。

 

また、こういった報道を見ると、

「事業継続ができるのであれば、事業譲渡などのM&Aの手法を利用して別会社が事業を継続するということができないものか?」

「M&Aが大企業だけでなく、中小企業にも広がってきているという報道もあるけれど、やはり中小企業のM&Aは手数料が安価になってしまい仲介会社が敬遠してしまうため、広がらないのか?」

と疑問に思ってしまいます。

 

今後も中小企業のM&Aや事業再生に関して、幅広く本コラムにて紹介していきたいと思います。

特別清算と破産の違い ~金融機関はどのように見ているのか?

2020-05-24

「特別清算と破産の違いはなんでしょうか?」

「債務超過の会社ですが、破産ではなく特別清算で清算できないでしょうか?」

 

「特別清算」や「破産」のご相談のときに、上記のようなご質問を受けるときがよくあります。

 

会社が債務超過となり廃業して清算せざるをえない場合、できれば「破産」は避けたいと考えます。

なぜなら、「会社が破産した」となれば、同業者間で大きなウワサとなり、風評被害が出るからです(特別清算は、破産と同じく、債務超過における清算方法なのですが、破産に比べれば風評被害は小さいと言えます)。

 

そのため、「特別清算」で清算できないか、と考えるのは自然といえます。

ただし、「特別清算」は債権者の同意がないと進めることはできません。

具体的には、金融機関の同意がとれなければ進められません。

※金融機関が債権者にいなければ、金融機関の同意は考える必要はありません。けれども一般的には大口の債権者は金融機関、ということが多いといえます。

 

そこで、「特別清算」と「破産」の違いを説明し、金融機関の視点を考えたいと思います。

※破産・特別清算に関する基本的な説明については、「破産・特別清算の基礎知識」をご覧ください。

 

まず、「特別清算」と「破産」の共通点は以下の通りです。

①債務超過であること

②裁判所が関与する清算型の手法であること

主には以上の通りです。

 

次に、「特別清算」と「破産」の違いは以下の通りです。

①清算の主体が「特別清算」では特別清算人(株主総会にて選任)

 「破産」では管財人(裁判所が選任)

②「特別清算」では、債権者の同意が必要。

 「破産」では、債権者の同意は不要。

③「特別清算」では、予納金(裁判所に納める手数料)は比較的安い。また比較的手続きが早い。

 「破産」は予納金が比較的高額。比較的、手続きが遅い。

主には以上の通りです。そのほかにも特別清算は株式会社だけ、などの違いもありますがここでは割愛します。

 

以上の点を踏まえて「金融機関の視点」を考えてみます。

 

特別清算の申し立てをする場合、事前に金融機関に対して『この度、事業を停止して特別清算にて清算したいと考えています。ついては御行に対する借入金を特別清算にて清算することにご同意いただけないでしょうか』と連絡することが一般的です。

これに対して金融機関は簡単に同意しません。

金融機関から見れば債権の放棄ですので、簡単には同意できない、という結論に至るのは当然といえば当然です。

また、実質的な理由もあります。

「破産」では裁判所が選任した管財人が、破産者の資産や債権の有無はもちろん、破産に至る原因や破産前に債権者を害するような処分がなかったか等を調査・報告することになります。

「特別清算」でも、特別清算人が資産や債権等を調査しますが、特別清算人はあくまでも株主総会で選任されただけであり、いわば身内です(通常は、代表取締役がそのまま特別清算人に就任します)。

 

ですので、金融機関は、貸付金の回収不能(破産でも特別清算でも、この結論は同じです)について、破産であれば、裁判所が選任した管財人によるチェックと報告がなされることから、「回収不能という結論が同じであれば、管財人の調査がある破産で進めてほしい」という考えに至るわけです。

 

以上の「特別清算」と「破産」の違い、そして「金融機関の視点」を理解しないまま、単に金融機関に特別清算の同意を求めても、金融機関は「同意しません。破産をご検討されたらいかがですか」という回答になることが多いです。

 

そこで、金融機関に対して特別清算の同意を求める場合、以下の点を説明することが多いといえます。

①外部の専門家(公認会計士など)が、債務超過の原因や不当な処分がないかどうか、また資産の状況や債権の詳細について調査を行い、すべての金融機関に報告すること。

②清算する会社に関して事業譲渡や会社分割その他の手法によって「事業の処分」を行い、その対価を得ることができるため、単に「破産するよりも、特別清算によって清算するほうが清算時の配当が多額になること。

 

結論だけ言ってしまえば、①清算する会社のすべてを明らかにして、②破産よりも多額の配当を行うので、「特別清算」に同意してほしい、というお願いをすることになるのが一般的です。

 

もちろん、このようにお願いをしても金融機関が特別清算に同意しないことも多々あります。

やはり、金融機関にとってみれば、貸付金の回収不能を自ら「同意する」というのは、非常にハードルが高いことといえます。

 

とくに金融機関が嫌がるのは、①に関して、虚偽の説明をしたり重要な事実を隠すことです。

こういった事態が発覚すれば、まず特別清算の同意は難しいといえます(「破産」するほかない、ということになります)。

 

「特別清算」を進めるのであれば、以上の点を十分に理解しておくことが必要になります。

 

当事務所では、「廃業・清算、事業再生案件は早めの相談が重要」と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。

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上記以外でも一度ご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

特別清算の流れ(手続)について

2020-05-22

「債務超過の会社ですが、破産以外の清算はできますか?」

「会社の特別清算の流れが知りたいのですが」

 

このようなお問い合わせやご相談が増えています。

 

債務超過の会社の法的清算は、すべて破産ではありません特別清算という方法もあります。

 

特別清算とは、清算手続きが円滑にいかない可能性がある場合(債務超過など)、手続きの円滑と公平性を担保するために、第三者である裁判所の監督のもとで行われる清算手続きです。

特別清算では、株主総会で選任された特別清算人が、財産目録や貸借対照表の作成などの財産調査などを行ない、一方で債権届出手続き(公告・催告とそれに対する債権者の届出)を行ないます。

 

特別清算と通常清算・破産との最大の違いは、債権者の「同意」が必要、という点です。

通常清算(一般的には資産超過の会社の清算)、破産(債務超過の会社の清算)では、債権者の同意は不要です(破産・特別清算に関する基本的な説明については、「破産・特別清算の基礎知識」をご覧ください)。

 

具体的には、特別清算では、債権者に対する弁済の方針を定めた「協定案」、または個別の「和解案」によって「同意」を得ることが必要になります。

通常は、申立前に債権者に対して同意が得られるかどうかを確認してから、申し立てます。

 

具体的な特別清算の流れ(手続き)については、以下の図表を見ると分かりやすいと思います。

 

以上が特別清算の流れになります。

 

廃業や清算については早めの相談が重要と考えておりますので、当事務所は最初の相談については30分無料としております。

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上記以外でも一度ご相談ください。

 

通常清算の流れ(手続)について

2020-05-20

「廃業後の清算について、流れが知りたいのですが」

「会社の清算って、どのような手続きでしょうか?」

 

このようなお問い合わせやご相談が増えています。

 

会社が廃業(事業を停止)して清算する場合、資産超過であれば通常清算の手続きにて清算することになります。

 

具体的には以下の通りです。

会社が、その最高意思決定機関である株主総会で解散の決議をした後、合併や破産手続きに移行しない場合には、清算をすることとなります。

清算の開始により、取締役が新たに「清算人」となり、取引関係を終了させます(「現務の結了」といいます)。

また、清算人が、債権の取立て、財産の換価処分、残余財産の分配、債務の弁済を行うことになります。

会社の財産を把握するとともに、会社の債権額を確定するために、債権者に対して債権を届けるよう公告・催告することも清算人の業務です。

 

「通常清算」は、このように、裁判所の監督なしに「清算人」によって会社の解散手続きが行なわれる制度です。

簡単に言ってしまえば、現状の経営陣(=清算人)で、会社をたたむことになります。

 

流れについては、以下の図を見るとわかりやすいかと思います。

解散の決議から3か月~6か月程度で終了するのが一般的です。

 

 

以上が通常清算の流れになります。

 

なお、法人の破産・清算についての全体像に関しては「破産・清算業務について」をご覧ください。

 

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廃業の案内方法について ~廃業のご挨拶の文案

2020-05-13

「廃業を検討しているのですが、取引先にどのように案内したらいいのでしょうか?」

「廃業するとなると、お得意様にあいさつにうかがわないとマズいですよね?」

 

こういった相談が増えています。

法律上、「廃業したら、このような挨拶をする」ということが決められているわけではありません。

一般的には、白い少し厚手の紙に、案内文を同封して通知することになります。

 

ただ、単に「廃業しました」「今までありがとうございました。」だけでは、取引先等が今後について不明となり、混乱してしまいます。

一定程度の内容はお知らせしておくべき、と思います。

他方で、「どこまでお伝えしたらいいのか?」「かえって混乱しないか?」と悩ましいところもあります。

 

そこで、当事務所で一般的に用いている「廃業のご案内」の文案(法的に問題が無く、取引先等に対する説明として必要十分な内容を盛り込む)をご紹介します。参考にしていただければと思います。

具体的には、①廃業日、②廃業に至った事由、③謝意、④廃業後の手続き(通常清算をするのか、事業譲渡なのか)、⑤今後の手続きに関する連絡先、以上の点を記載すべきでしょう。

※あくまでもひな型ですので、用いる場合には、ご自身の判断でお願いします。

上記のひな型は、簡潔に①~③を伝え、④今後の手続きが通常清算であること、⑤今まで同じ通りの連絡先により通常清算の事務が行われることを通知しています。

 

事業の廃止の判断や手続きは悩ましい点が多々あります。

当事務所では、廃業や清算を含めた倒産・再生案件は、早めの相談が重要と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。

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「廃業」で失敗しないために ~早めの相談(無料)をお勧めします。

2020-05-04

「廃業を検討しているのですが、何を相談したらよいのか分からなくて・・・」

 

最近、廃業のご相談が増えています。

ご相談をうかがう中で、「もっと早く、こうしておけばよかったのに」と思うケースは少なくありません。

 

では、「廃業」で失敗しないためには、どうしたらよいのでしょうか?

 

結論ですが、「廃業」で失敗しないためには、

「廃業」において「正解は一つとは限らない」ということを前提として、弁護士といった専門家に早めに相談することが重要です。

できれば、複数の弁護士に意見を聞いてみるとよいと思います。

 

少し説明を加えておきます。

まず「廃業」には、さまざまなケースがあります。

資産超過のケースもあれば、債務超過の場合もあります。「事業」を完全に停止する「廃業」もありますし、「事業」を移転するという「廃業」もあります。

このように「廃業」にはさまざまなケースがあり、しかも通常、「廃業」は「今までに経験したことのないケース」でしょうから(何度も廃業を繰り返すのはまれです)、過去のご自身の経験から答えを導くことがなかなか困難といえます。

 

以上のような事情により、経営者の方は「廃業しようか、どうしようか」「事業を停止したらよいのか、第三者に譲渡できるのか」といった点を悩むことになります。

また「廃業」という内容から、周囲の友人に気軽に相談できないため、独りで抱え込んでしまうという事情もあるでしょう。

その結果、専門家への相談が遅れる傾向にあります。

 

逆に、「将来性がなく、債務超過だから破産します」という結論が決まっているケースは、専門家への相談も早く進むことが多いと思われます。

「廃業」はさまざまな選択肢があるため、かえって相談が遅れてしまうケースがあると考えられるのです。

 

また、弁護士といった専門家においても、「廃業」する法人については、「事業を活かして譲渡すべき」、「ただちに破産すべき」といった方針が分かれることもあります。

その理由は、法人の規模や事業の内容によって、廃業後の法人の清算方法や事業の停止・継続について意見が分かれるからです。

ですので、「廃業」に関して、ある弁護士の意見を法律相談でうかがった場合、別の弁護士の意見の聞いてみるべきと考えます。

なぜなら、結論が一つとは限らないため弁護士によって意見が分かれることがあるからです。

 

まとめです。

「廃業」で失敗しないためには、「正解は一つとは限らない」ということを前提として、独りで抱え込まずに、弁護士といった専門家に早めに相談することが重要です。できれば、複数の弁護士に意見を聞いてみることがよいと思います。

 

当事務所では、「廃業・清算を含めた法人の事業再生・倒産の案件は早めの相談が重要」との考えのもと、30分無料の法律相談(初回)を行っております(当事務所の無料相談に関しては「よくある質問と回答」をご覧ください)。

当事務所への無料相談のご予約は0120-710-883にお電話下さい。

 

 

 

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上手な「廃業」の方法について ~廃業の流れ(手続き)を知りたい方、必見です。

2020-05-01

「廃業の流れがわからないのですが」

「会社をたたみたいのですが、どのような手続きでしょうか」

こういった相談が増えています。

 

ここ近年、破産よりも「廃業」「解散」という法人が増えていました(→詳しくはコラム「上手な会社のたたみ方」をご覧ください)。

 

以前のコラムでもご説明していたのですが、「債務超過」の企業が事業を停止した後、「法的清算をせずに放っておきます」「法的清算を行う費用がありません」という対応(休眠する)をするケースを目にします。

当事務所では、様々なケースを見てきましたが、事業停止→休眠という方法はおすすめしません。

理由は大きく二つあります(→詳しくはコラム「上手な会社のたたみ方」をご覧ください)。

結論のみ申し上げると、デメリット(債権者側からの追及やその後の信用悪化)が大きく、コストパフォーマンスが悪いからです(廃業のための費用は、残余財産の早期処分や、場合によっては事業譲渡によって捻出可能なケースがほとんどです)。

 

こういったケースの原因は、「廃業」の流れや手続きがよくわからないため、放置してしまおう(休眠)、という判断によって引き起こされていると思います。

 

廃業(法人)を検討する場合、以下の流れを押さえておくことが重要です。

 

まず、基本的事項の確認です(→詳しくはコラム「廃業のときに最初にチェックすべき事項(失敗しない会社のたたみ方)」をご覧ください)。

 現状を把握して、どのような問題点があるのか、どのような手続きがよりベターかを検討します。

 ↓

次に、「事業を第三者に移転」するのかどうか、あるいは「民事再生」によって事業を継続するのかという選択を行います(詳しくは「民事再生の特徴とメリット」をご覧ください)。

 「民事再生」を選択しない場合、「清算」(通常清算、特別清算)するのか、「破産」するのかといった方法を選択することになります(→詳しくは「破産・清算業務」をご覧ください)。

 ↓

最後に、経営者ご自身の保証債務をどうするのか、という段階になります。

 具体的には、分割払いをするのか、自己破産するのか、あるいは「経営者保証のガイドライン」にしたがって整理するといった方法を選択することになります。

 

以上の通り、大きな「流れ」をつかんでおくことです。その上で、各手続きについて検討することになります。

ご不明な点などございましたら、ご相談ください。

 

当事務所では、「廃業・清算、事業再生案件は早めの相談が重要」と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。

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