M&Aの流れ

M&Aは、会社の組織・事業の譲渡・移転のプロセスという側面がありますので、流れに沿って進んでいきます。

一般的にM&Aのプロセスは、売主の意向で開始される場合と、買主の意向で開始される場合に分けられます。日本のM&Aにおいては比較的売主の意向で開始されるケースが多いと言われています。

そこで、売主の意向によりM&Aが開始される場合を念頭に、一般的なM&Aにおける流れを説明します。

 

<M&Aの流れ>

1 交渉相手の選定プロセス(買主候補の選定と秘密保持)
     
2 契約締結の交渉プロセス(デューディリジェンスと契約内容の交渉)
     
3 契約実行プロセス(クロージング)

 

■1 交渉相手の選定プロセス

① 買主候補の選定

売主が買主候補の募集を開始する場合、売主はフィナンシャルアドバイザ
ー(FA)を雇い、FAがティーザー又はノンネームシートと呼ばれる売主や対象企業の概要を記載(企業名は記載せず、事業分野や事業規模、業績等を記載)した書面を用いて買主候補を募集するのが一般的です。

売主が買主候補を選定するに際しては、企業名、代表者名、本店所在地、資本金、事業内容、売上高、利益などの基礎的情報を整理し、買い主候補として20~30社程度をピックアップすることが多いでしょう(ロングリスト、と言ったりします)。

そして、その後、反応があった先の中から、候補先企業を数社~8社程度までに絞り込みます(ショートリスト、と言ったりします)。

<買い主候補・ショートリストに記載する項目>

▶企業名、代表者名(年齢)、本店所在地、設立年月、資本金

▶事業内容、沿革、支店・事業所・営業所、グループ会社の概要、従業員数

▶株主構成、役員構成、後継者

▶取引銀行、主要取引先

▶時価総額、過去3年の売上高・利益、純資産

▶借入金、社債の格付け、信用調査会社による評点
  など

 

② 秘密保持契約(CA)

買主候補がティーザーの情報に基づき対象会社(売り手側企業)に関心を抱いた場合、より詳細な情報を入手し、その後の入札等に本格的に参加するため、買主候補は売主との間で秘密保持契約(略称はCA)を締結することが一般的です。

 

③ 情報提供(情報パッケージの交付)

買主候補がCAを締結した後、売主のFAから、対象会社の実名や事業及び財務に関する一般的な情報が記載されたインフォメーションパッケージと呼ばれる資料が提供されます。

 

④ 企業価値の査定

買主候補は、インフォメーションパッケージその他の情報に基づき、自社との事業シナジーが実現した場合における、対象会社の企業又は事業価値を算定します。

 

⑤ 基本合意書

買主候補が買収の基本条件を提 示し、売主が特定の買主候補に絞った交渉を継続することを決意した場合、通常、その時点までの当時者の了解事項を確認する目的で、買収対象や買収スキーム、買収金額等を規定した基本合意書を作成します。

基本合意書は、あくまで最終契約前の仮の合意であり、デューディリジェンス(買収のための監査・調査、と理解しておけばよいかと思います)の結果やその後の事情変更等により変更される可能性があることから、法的拘束力を持たせないことが一般的です。

 

■2 契約締結の交渉プロセス

① 各種デューディリジェンスの実施

具体的な買収交渉プロセスに入った買主候補は、対象会社の各種リスクを調査するため、法務・財務・税務・事業性の各観点からデューディリジェンスを実施します。

 

② 最終契約の締結交渉

買主候補は、各種デューディリジェンスを経て、最終的な買収価格と買収条件を提示します。

当該提示内容が売主において受入可能であった場合には、最終契約書の作成プロセスに進むことになります。

最終契約書においては、買収価格や、表明保証、買収の実行条件(クロージング条件)、買収後の補償事項、誓約事項、クロージング手順等について詳細に規定されますので、極めて重要です。

 

■3 契約実行プロセス

① クロージング準備

通常、M&Aにおいては、当該M&Aに関する最終契約の調印後、一定期間の経過後にクロージング(取引の実行)が行われることが一般的です。

 

② クロージング(当日の作業)

クロージング当日は、主に買主において、全ての手続書類(その他重要物)の存在等、契約上の義務履行の停止条件が充足されたことを確認した後に、買収対価が提供されます。その後、売主において着金確認などの手続を経た後に、必要書類が買主に交付されます。

 

③ クロージング後の手続き

クロージング後の手続きとしては、買主側が、事業運営においては経営統合作業が必要となります。

一般的には、クロージング後の新体制の構築(組織・規定類の見直し、人事労務の見直し等)、中期経営計画の策定、その実行状況のモニタリングなどが挙げられます。

 

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー